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福島地方裁判所 昭和48年(わ)195号 判決

本店所在地

福島県双葉郡浪江町大字 現堂字下柳町六番地

名称

社団医療法人 西会

代表者理事長

西貞八

本籍・住居

福島県双葉郡浪江町大字 現堂字下柳町六番地

職業

医療法人役員

氏名

西貞八

年令

六六歳(明治四〇年一〇月一八日生)

右被告人両名に対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官寺尾淳出席の上審理をして次のとおり判決する。

主文

被告法人西会を罰金三〇〇万円に、被告人西貞八を懲役四月に処する。

被告人西貞八に対し、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

罪となるべき事実

被告法人西会は、福島県双葉郡浪江町大字 現堂字下柳町六番地に本院を、原町市栄町三丁目一〇九番地に診療所を設け、出資金四〇〇万で医療保健業を営む社団医療法人であり、被告人西貞八は、右法人の理事長として同法人の業務全般を統括していたものであるが、被告人西貞八は、右法人の業務に関し、法人税を免れようと企て、人工妊娠中絶収入および外来、入院患者の一般収入を除外するなどの不正な手段により

第一  昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、二、一六八万九、八〇〇円で、これに対する法人税額は一、七七〇万〇、五〇〇円であるにもかかわらず、昭和四六年五月三一日所轄相馬税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は、八一二万七、四九六円で、これに対する法人税額は、二七一万六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、さらに同年六月一六日所轄相馬税務署長に対し、所得金額は八三五万七、六八六円で、これに対する法人税額は、二八〇万一、〇〇〇円である旨の虚偽の修正確定申告書を提出し、もって同法人の当該事業年度の正規の法人税額七七〇万〇、五〇円との差額四八九万九、五〇〇円をほ脱し

第二  昭和四六年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額は、一、二六〇万六、二一一円で、これに対する法人税額は、四三六万七、四〇〇円であるにもかかわらず、昭和四七年五月三一日所轄相馬税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は、二六八万一、三五六円の欠損で、これに対する法人税額は源泉徴収税額の控除不足額があるため、二、七〇八円の還付となる旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同法人の当該事業年度の正規の法人税額四三六万七、四〇〇円との増差額四三七万〇、一〇〇円をほ脱し

たものである。

なお、右各事業年度における所得の内容は、別紙(一)、(二)の各修正税額計算書のとおりであり、その脱税額の計算内容は、別紙(三)、(四)の各脱税額計算書のとおりである。)

社長の 目

判示事実全部につき

被告人西貞八の当公判廷における供述と検察官に対する各供述調書および収税官吏に対する各質問てん末書、各上申書、嘆願書

一  臨検てん末書四通と検査てん末書五通

一  橋本信男の検察官に対する供述調書と上申書

一  坂本栄子の検察官に対する各供述調書および収税官吏に対する各質問てん末書、各上申書

一  野トクヨの検察官に対する供述調書

一  未永良子、西康一、川井咲枝、佐藤英子、西フミ、西毅英、西美子、西茂夫、秋月肇、関本昭治、原田利雄外島伸、長南仁、斉藤勲、宮口勝男、梅津紀生の各収税官吏に対する質問てん末書

一  西康一、西茂夫、西貞八外一名、近野栄の各上申書

一  銀行調査書

一  貸付信託金銭信託計算書二冊

一  簿外預金調査書、個人預金調査書

一  押収してあるワラ預金関係出納帳一綴(昭和四九年押第七号の五)、同書収入帳(自昭和四六年一月一日至昭和四六年一二月三一日)一綴(同号の一一)

判示冒頭の事実につき

一  登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  脱税額計算書(検二号)

一  法人税修正確定申告書謄本

一  押収してある総勘定元帳一綴(昭和四九年押第七号の一)、同現金出納帳一綴(同号の三)、同診療録一綴(同号の六)、同裏収入帳(自昭和四五年一月一日至昭和四五年一二月三一日)一綴、(同号の一〇)、同法人税確定申告書一綴(同号の一六)、同法人税修正申告書一綴(同号の一七)

判示第二の事実につき

一  脱税額計算書(検三号)

一  法人税修正確定申告書謄本(検五号)

一  押収してある総勘定元帳一綴(昭和四九年押第七号の二)、同現金出納帳一綴(同号の四)、同診療録一綴(同号の七)、同金銭出納帳(自昭和四七年一月至昭和四七年四月)一冊(同号の九)、同裏収入帳(自昭和四七年一月一日至昭和四七年三月三一日)一綴(同号の一二)、同法人税確定申告書一綴(同号の一八)

法令の適用

被告会社の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項に該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内において、又被告人西貞八の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項に該当するから所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、主文第一項掲記のとおりそれぞれ量刑処断し、被告人西貞八については刑法第二五条第一項を適用して、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 関口亨)

右は謄本である。

昭和四九年三月四日

同庁

裁判所書記官 岡崎恒雄

別紙(一) 修正損益計算書

自 昭和45年4月1日

至 昭和46年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

注 「外」とあるは、本籍に対する外書を意味する。

別紙(二) 修正損益計算書

自 昭和46年4月1日

至 昭和47年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三)

〈省略〉

別紙(四)

〈省略〉

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